デュプイトラン拘縮の症状
デュプイトラン拘縮は手のひらにしこり・こぶのような隆起が出現するとともに指が徐々に曲がってきて伸びなくなる病気です。発症しても指は完全に曲げることができるため日常生活に不都合が少なく、それだけに来院が遅れる傾向があります。小指、薬指に発症することが多く、次いで中指にも発症することがあります。
症状としては指が曲がったまま伸びないため、顔を洗うときに手のひらが使えず、発症していない指の先だけで顔を洗わなくてはならない、ポケットなどに手を入れるときにひっかかるなどの症状があります。足の裏にも出現することがあります。一般的にはしびれや痛みなどを伴うことはありませんが、進行した際には索状物と神経が絡み合うためしびれなどを訴えることがごくまれにあります。
デュプイトラン拘縮の原因
一般的には高齢男性、糖尿病患者、アルコールの多飲などが多いとされていますが、その原因はいまだ判明していません。皮膚のすぐ下にある手掌腱膜という本来は薄い膜様組織が肥厚し退縮する際に皮膚と癒着を生じひきつれてくるため指が曲がってきます。非常に硬い組織であるため伸展(指を伸ばすこと)が困難になります。屈筋腱(指を曲げる腱)との間には障害がないため進行しても指はスムースに曲げることができます。
デュプイトラン拘縮の診断
特徴的な手のひら、指にできたこぶと指の伸展制限などから診断は比較的容易です。ただし、早期の場合はこれらの症状がはっきりとしないため専門医の診断が必要です。超音波検査を用いることで、皮下にできた腫瘤(こぶ)と指を曲げる腱が分かれて動いていることが確認することもあります。
指が伸びないことからばね指といった腱鞘炎や腱断裂と間違えられることがあります。また、指の関節リウマチや変形性関節症に伴う関節拘縮(関節が固くなって動かなくなること)、腫瘍などとの鑑別が必要です。
デュプイトラン拘縮の治療
デュプイトラン拘縮に対する保存的(非手術的)治療法には指や手のストレッチやマッサージ、装具療法を行うことがあります。いずれも病状の進行を遅らせることを目的としているため完全に治癒することはありません。また、血糖値の管理も重要です。重要なのは、治療計画を医師と十分に相談し、定期的なフォローアップを行いながら状態の変化に応じて適切な治療法を選択することです。
手術療法は保存的治療法などで改善が見られない場合や、症状が進行して日常生活に支障をきたすようになった場合に適用されます。固くなった指をのばし、手の機能を改善することを目的に行われます。
当院では超音波ガイド下に局所麻酔を行い、日帰りで手術を行っています。
指の第2関節の屈曲が強くなると完全伸展ができなくなることがあるため、第2関節の屈曲が強くなってきたときには手術療法について相談しましょう。
手術は、肥厚し硬化したこぶの部分の手掌腱膜を完全に除去します。屈曲が強い場合は手術により指が伸びると皮膚が足りなくなることがあり、その場合には時間をかけて皮膚ができるのを待ったり、皮膚移植術を併用したりすることがあります。関節が完全伸展できない場合は関節授動術が必要になります。手術後は指の動きに合わせて運動器リハビリテーションが必要となります。
当院では国家資格を持つ理学療法士・作業療法士が手の機能の回復をお助けします。症状の進行した症例では手術後再発することがありますので十分な経過観察が必要です。
当院では日帰り手術からリハビリまで一貫して受けることができますので、少しでも症状にお困りであれば、ご相談ください。