舟状骨骨折の症状
舟状骨骨折は外傷後に手首の橈側(親指側)に痛みが生じることが主な症状です。安静時には痛みがないことも多く、手を動かしたり、手をついたりした時だけ痛みが出ることがあります。
外観上も腫れや変形が認められないことが多いため、患者さん自身が骨折に気づかないこともあります。骨折部がずれて疼痛が増悪したり、長期間疼痛が続いたりして初めて来院することも少なくありません。
舟状骨骨折の原因
舟状骨骨折の原因は、スポーツ中の転倒で手をついたときの軽微な外傷から、高所からの転落や交通事故などの重度の外傷まで様々です。主に若年から中年期の比較的若い世代で発症します。
受傷直後に疼痛が少ないため、ただの捻挫や打撲と判断し、医療機関への受診が遅れることも少なくありません。受診時には骨折がずれてしまっていることもあり、診断が難しい疾患です。
舟状骨骨折の診断
診断は、慎重な問診の聴取に加えて舟状骨の圧痛、特にスナフボックス(かぎたばこ窩)に圧痛を認めます。しかしながら、症状があまり強くないこともこの骨折の特徴です。
骨折の治療方法を選択するためにCT撮影を行い、詳細な骨折のパターンを確認することがあります。また、単純レントゲンで骨折がはっきりしなくても、痛みが続く場合や圧痛がスナフボックスに局在する場合は、MRIで骨折の有無を確認します。単純レントゲンで骨折がみつからない場合でも、この骨折が疑わしい場合は、ためらわずにMRI検査を受けることをお勧めします。
※当院にはCT・MRIはございませんので、CT・MRI検査が必要になる場合は近隣病院をご紹介させていただきます。
当院の舟状骨骨折の治療
保存的治療、手術治療の両方を行っております。
保存的治療
- メリット
- 手術侵襲がないため、余分な疼痛がありません。
- デメリット
- ギプス固定を6~8週(最大12週程度)継続しなければならず、入浴ができないことや、日常生活・仕事に支障が出ることがあります。
手術療法
- メリット
- 早期ギプス除去が可能となり、術後1週間で抜糸をすれば入浴も可能です。また、骨折のずれを正確に整復できます。
- デメリット
- 手術による痛みや、傷の感染などが挙げられます。
当院での手術治療
当院では骨折部を金属スクリューで固定します。局所静脈区域麻酔を行い、日帰り手術が可能です。
手のひらからスクリューを入れる場合の手術時間は約10分で、1cm弱の傷で手術が可能です。手の甲から手術をする場合は約2cm程度の傷を加えて、20分程度で手術が行われます。このスクリューは骨内に埋め込んでしまうため抜去する必要はなく、チタン合金でできれているため身体に問題はありません。その後のMRIも撮影可能ですのでご安心ください。
手術後はリハビリテーションが大切です。これを怠ると手首や指の動きが悪くなることがあります。当院では積極的に理学療法士や作業療法士の管理のもと、積極的な治療を行っています。
当院では日帰り手術からリハビリまで一貫して受けることができますので、少しでも症状にお困りであれば、ご相談ください。